今のキモチ
私は今まで恋愛したことがない。
自分でもビックリするぐらい不器用で、その度に友達を困らせていた。
おとなしくて、人見知りが激しくて、口ベタで人と話すのが苦手。
そんなドジでな自分が恋愛できるわけない・・・
ずっとそう思ってきた。
それが当たり前だと思っていた。
でも、ある日。
会社の飲み会である人に出会った。
明るくて。
優しくて。
みんなに慕われて。
私は遠くから見ているだけだった。
そして、思った。
「自分もあんな性格になれるのかな・・・」
無理だろうな。
すぐに答えを出した。
できるわけない。
自分でできないと決め付けていた。
いつものマイナス思考。
ホント自分が嫌になる・・・
私がいなくてもいいんじゃないのかな・・・
ついにはそんなことまで思ってしまう。
何もかもが嫌になった。
やっぱり、もう帰ろう・・・・
ここにいても仕方ないよ・・・
そう思った時だった。
その人が私の隣にやってきた。
ビックリした。
そして、声をかけてくれた。
ドキッとした。
あたふたしながら答えた。
でも、何故か落ち着いた。
何だろう・・・このキモチ・・・
飲み会はあっという間に終わった。
いつものように、あまり楽しくなかった。
元々、お酒飲めないし。
でも、あの人と話できたことがすごい嬉しかった。
ある日。
プロジェクトでその人と同じになった。
ビックリした。
でも、私のことなんて覚えてないだろうなぁ・・・
けど、覚えていてくれた。
すごい嬉しかった。
仕事もドジな私。
でも、その人は丁寧に教えてくれた。
何度も謝りながら、必死に仕事をした。
そして、やっぱり落ち着くなと思った。
何だろう・・・このキモチ・・・
プロジェクトが発足して1ヶ月ぐらい。
休日に高校のときの同級生に会った。
その時にその人のことを話してみた。
そしたら、友達は、
「それ、恋してるんじゃないの?」
って言われた。
このキモチが恋なんだ・・・
友達に言われて初めて気付いた。
でも、最初は認めたくなかった。
認めちゃったら自分がどうにかなってしまいそうで。
認めちゃったら自分が自分でなくなりそうで。
それが恐かった。
でも、その日を境にやっぱりギクシャクしてしまった。
仕事が手につかない。
食事も手につかない。
いつも怒られてばかり。
何をやってもダメだった。
その代わり、その人のことを一日中考えるようになった。
仕事のときも。
食事のときも。
遊んでいるときも。
話ができなくてもいい。
それだけでも楽しかった。
心が落ち着いた。
そんな状態になって、私は初めて認めた。
「自分はあの人が好きなんだ・・・」
でも、認めたのはいいけど、どうすればいいんだろう。
わからない。
逆に不安になってきた。
付き合ってる人、いるのかなぁ・・・
どんな人が好きなんだろう・・・
やっぱり、明るい人が好きなのかな・・・
きれいな人が好きなのかな・・・・
私のこと・・・どう思っているんだろう・・・
こんなに好きなのに。
何もできない。
何も伝えられない。
伝えたらその人と気まずくなりそうで恐かった。
自分がどう思われているかが恐くて言い出せなかった。
すごく恐くて。
すごく不安で。
すごく切なくて。
すごく悲しくて。
そう思うと、涙が止まらなかった。
一人になるとその人のことが思い浮かんで。
その度にとても辛くて。
その度に泣いた。
どうしたらいいんだろう・・・
恐いよ・・・
嫌われたくないよ・・・
誰か助けてよ・・・
一人でいることが耐え切れなくて友達に泣きながら電話した。
友達はとても心配してくれた。
夜中なのに家に来てくれた。
それがとても嬉しくて。
また涙が止まらなかった。
泣きじゃくった。
迷子になった子供のように泣いた。
友達はずっと慰めてくれた。
そして、こう言ってくれた。
「焦ることないんじゃないのかな?
でも、自分の気持ちはちゃんと伝えないとその人にわからないよ。
ダメだったらダメでいいじゃん。
ゆっくり行こうよ」
私は焦ってたのかな・・・
そう思うと涙が止まらなかった。
私、いつからこんな泣き虫なんだろう・・・
友達がそっと頭をなでてくれた。
心地よかった。
しばらく泣いて、話したらスッキリした。
やっと笑顔になれた。
友達にとても感謝した。
何度もお礼を言った。
友達はとても照れくさそうだった。
そうだよね。
焦ることないよね。
私は私らしくいこう。
明日からまたがんばろう。
ゆっくりと自分を変えていこう。
次の日、笑顔でその人に挨拶した。
そしたら、こう言ってくれた。
「お、元気になったね」
ご心配かけましたとペコリと謝った。
言いたいけど言えない。
それが今の私の気持ち。
でも、焦ることない。
ゆっくりいこう。
あなたに会えてよかった・・・
私はあなたのことが大好きです・・・